練馬プロジェクト報告 パーク汚染地浄化
土壌環境修復の総合的な取組

練馬PJにおけるグループ総合力の発揮

購入

【当該地情報】
敷地面積 120坪
操業40年を超えるクリーニング工場の跡地
購入検討時は銀行管理下にあり、同時に汚染が有ることも判明。 BFM は事前調査を自己負担で実施の上、その結果より浄化費用を予測。並行して物件相場を精査し出口価額と浄化・解体費用を徹底精査。その結果、瑕疵担保免責・現状有姿での買取条件でBFM が当該物件を取得した。
〈瑕疵担保免責〉
瑕疵とは傷という意味。
BFM は購入後、土地の傷(汚染・埋設物 等)について、すべて自己責任で対策する。
〈現状有姿〉
建物付現況そのままで買受。
従って違法建築等の対処もすべて BFM で対策する。
瑕疵担保免責取引

本件は、所有者が破産していたため土壌汚染リスクを含む瑕疵担保免責という買主にとって非常に不利な条件でした。
そこで当社は、土壌汚染を含む全てのリスクを数値化し、かつ売却想定価格をマクロ・ミクロの両面から検討して購入価格を算出しました。
他社が土壌汚染リスクに躊躇している間に、契約前に自費でガス調査を行う事を条件に購入の意思表示を行い先に物件を押さえました。
ガス調査結果から当初見込んでいたリスクと大差ないと判断し、契約に至りました。
本件のような案件は、リスクを過大に評価すると破産管財人等が希望する価格まで出ないため、リスク評価が非常に重要となります。
また、不動産は他社との競合もあるため、スピーディに行う必要もあります。
土壌汚染対策法の適用
①有害物質使用特定施設の廃止(法第 3 条)
使用が廃止された有害物質使用特定施設のある土地の所有者は、土壌汚染の状態を指定調査機関に調査を依頼し、その結果を都道府県知事に報告しなければならない。
区域指定
都道府県知事は、土壌汚染状況調査の結果、指定基準に適合しない土地については、要措置区域または形質変更時要届出区域として指定する
〈要措置区域〉
・土壌汚染の摂取経路が有り、健康被害が生じる恐れがあるため、汚染の除去等の措置が必要な地域
(法第 6 条)
・汚染の除去等の措置を都道府県が指示する (法第 7 条)
・土地の形質変更の原則禁止 (法第 9 条)
〈形質変更時要届出区域〉
・土壌汚染の摂取経路がなく、健康被害が生じるおそれがないため、汚染の除去等が不要な区域
(摂取経路の遮断が行われた区域を含む)
・土地の形質変更時に都道府県知事に計画の届出が必要 (法第 12 条)
*要措置区域及び形質変更時要届出区域について、台帳に記載し閲覧に供する。
*汚染の除去が行われた場合には、要措置区域及び形質変更時要届出区域を解除する。
汚染範囲:要措置区域指定
パーク汚染浄化における原位置浄化の適性
・パークレン : 水より重く土中の深いところまで侵入し帯水層汚染を引き起こしやすい
・掘削除去は狭いスペースでは崩落の危険により深い掘削は不可能
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原位置化学酸化・バイオレメディエーションの組み合わせが効果的
化学酸化
- メリット
- ・安価
- ・強い酸化力で高濃度汚染を短期間で対策可能
- 適用例
- ・汚染源・高濃度汚染域へ薬剤の注入
汚染源を攻撃!
バイオメディエーション
- メリット
- ・安価で効果が長期間持続する
- ・広く拡散した帯水層汚染等に有効
- 適用例
- ・比較的低濃度な帯水層汚染域へ微生物促進剤を注入
帯水層に広がったパークレン等を穏やかに分解
化学酸化 ー試験・現場施工ー
浄化効率=有害物質に化学酸化剤が接触すること 地盤に適した工法の選定が重要
・施工前:TR 試験等の実施
・施工中:土壌・水質の定期的なモニタリング
・施工位置や供給量の微調整を行いながら、的確に有害物質の存在する位置へ化学酸化剤を供給していく

パーク汚染浄化におけるTR試験の重要性

浄化の確実性を増す為の室内試験
化学酸化剤が土中で起こす化学反応は、土壌の性質により異なります。この化学反応によっては、パークやその分解生成物の分解が難しくなることもあります。
土壌や地下水は、サイトそれぞれで性質が異なるため、サイト毎の土壌および地下水を用いた室内試験(TR 試験)により化学酸化剤を評価します。この試験結果をもとに、化学酸化剤の選定を行い工事の設計を行うことで、浄化の確実性が増します。
高濃度汚染箇所絞込み
MIP 調査・分析
ガス濃度調査
MIP(Menbrane Interface Probe)をジオプローブマシンに取付け、調査地点各深度のガス濃度を連続的に収集。
汚染分布解析
収集したガスはフィールドコンピュータで即時に分析し、現地におけるガス濃度分布を把握し、高濃度汚染地を絞り込む。
パーク汚染浄化における MIP 詳細調査の有効性

パーク汚染は、土壌中に均質にあるのではなく、局所的に高濃度のまま残留しています。
それを見つけるためには、多地点で細かく調査するしかありません。
MIPは、センサーを直接土壌に打ち込むことで迅速に汚染を把握し、詳細な調査を実現します!!
浄化工事
ガス濃度調査
MIP 調査により絞りこんだ高濃度土壌汚染地に対して、薬剤を確実に接触させる為、重機を用いた撹拌混合を実施。
汚染分布解析
高濃度土壌汚染を低濃度化した後、バイオレディエーションにより低濃度土壌汚染と地下水汚染を浄化した。
要措置区域対策と最適浄化工法選択

行政の指導、法の汚染地の指定を受けると、安全側と言って掘削除去工法を選択する人が多いのですが、パーク汚染は深くまで浸透するので、とんでもなく高額な工事費になってしまいます。
掘削除去しかないと決めつけずに、是非一度ご相談ください。
当然、法条例に準拠した工法でベストな提案をさせて頂きます。
練馬 PJ の知見と今後の展開

練馬 PJ の最も大きな実績は「瑕疵担保免責」で購入したパーク汚染付物件が無事売却出来る事を実証した事であり、しかもそれは要措置区域指定期間中に為し得た事で更に価値のあるものになったと自負している。
本件については、地下水汚染の発覚から周辺井戸の残置による敷地大半に亘る要措置区域指定等、難易度は相当高いものがあった。
では、何故1年という短い期間で浄化・売却が可能になったか…。
主な事由として次の4つが挙げられる。
1.浄化会社の高いスキル(MIP 調査に代表される新規技術の導入と VOCS 浄化についての高い経験値)
2.浄化会社の行政対応力(要措置区域指定対応)
3.不動産会社の流動化ノウハウ(瑕疵の予測分析及び相場予測の精度等)
4.更に2社が保有する技術とノウハウがワンストップで機能する仕組みがあったこと
つまりは、各社が保有する、浄化技術と不動産スキルを最大限融合し発揮することが、汚染土地を瑕疵担保免責で購入・浄化し流動化するという大きなリスクに対峙する時に最も重要な要件になる。
-これこそが本件の知見といえる-
(浄化会社と不動産会社が別であれば利益相反により融合は非常に困難なものになる)
この自覚を胸に今後のクリーニング業界への貢献に思いを巡らせた時、やはり本件の「練馬 PJ」の経験値は実に貴重なものになる事と確信する。
何故ならば、パーク汚染から起因して起こる事象の全てを本件において経験する事が出来、かつそれが所有者の立場であったことによって、クリーニング業個々の事業者様と同様の立場で対応する機会を得たからである。

今後もグループの経験値を最大限発揮し、汚染地流動化に貢献すべく、パーク汚染浄化の様々な情報を開示して参ります。